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当て逃げは常識？非常識？
注：本文中の一部に不適切な表現がありますことをお詫びいたします。　 アメリカでの運転も慣れて、お出かけも楽しくなってきたある日のこと。買い物から駐車場に戻ってみると、みやむー号の顔がブサイクに変形していた。や、やられた〜！当て逃げじゃ〜！！その傷口と変わり果てた姿を見るうちにみやむー号が不憫に思え、悲しくなってきた。 ･･･が、次第に怒り心頭。誰だ、こんちくしょう、ヘタクソな奴は運転すんなっ！！！じわじわと悔しさがこみ上げてくる。しかし当て逃げとなると犯人は絶対に捕まらない。やり切れぬ思いを胸に自腹で修理。今思うとこれが悪質ドライバーからの洗礼だったようだ。 今や生傷の絶えぬワイルドな面構えになったみやむー号。これまで受けた攻撃は数知れず･･･。気づくとボディについた凹みや擦れの生傷が増えている。これらの全てが駐車場で付けられた「当て逃げ」だということは、特別に私の運が悪い為ではないだろうと思う。 アメリカの場合、多くの駐車場では隣の場所とのスペースを十分に取っているので、楽に駐車できる。しかし、安心してはいけない。不届き者がこの線をまるで無視するかのように線と線の間にどーんと駐車しているからだ。2台分の場所を潰して、1台だけが、ど真ん中にある。こういうドライバーは何を考えているんだろうか。多分何も考えていないのだろう。 この他にも、かろうじて枠の中に入っているようで、車体の半分が斜めになって、結局2台分のスペースを潰している奴もいる。駐車場が混雑していて1台のスペースも惜しいというような時にこういう無法者がいると本当に頭に来る。短期は損気というけれど、腹が立つものはしょうがない。頭から突っ込んで、狙いを外しても絶対に切り返しをしないのだ。 斜めに止まっている車があるときは、出来るだけこの車の隣には駐車しないほうが良い。他の場所を探して駐車すべきだと思う。下手な上に、特に大事にする必要も無いようなボロい車に乗っている人は、恐るべきことに開き直っていることが多い。ぶつけても凹んでも、自分が仕出かした事には無関心である。逆の場合は鬼の首を取ったかのようにうるさい。自分の車を守る為には、隣の車が発車する時にぶつけられるかもしれないと疑うべきだ。 私の通う学校の駐車場は悲惨だ。学生同士の接触によるトラブルが頻発している。これも、駐車場が狭いためだ。もちろん駐車場の幅も極端に狭く、停めにくい。授業の開始時刻が近づくと、学生たちは場所を探してあちこち彷徨う。 さらに、ドアを開けるときに隣の車にぶつけないようにと気遣う人の少なさといったら！ついつい驚いてしまうほどだ。「ゴンッ」という嫌な音がして、その方向を見れば、誰かが隣の車をへこませているのだ。私の車の一定の高さに同じような擦れた跡と、小さな凹みがあるのは、間違いなくドアをぶつけられた跡だ。 狭い駐車場で幅のある車を停めようものなら、ドアを開けるときに隣の車のボディがあって降りにくい。（もしも極端に太っている人ならば、すり抜けられそうにないほど狭いのだ。）これがみやむー号にいくつもの傷を増やした原因である。 一度、我ながら失敗したなぁと思ったのは、頭から突っ込んでいる車と車の間にあったほんの少しの隙間にバックで駐車したときのことだ。私は自分の駐車テクに我ながら感動しつつ、ドアをそっと開いて隙間からすり抜けて車を降りた。そして駐車場から離れたのだが、授業から戻った時には隣の車の色をした傷と凹みがドアに付けられていた。ショックだった。 頭から突っ込んでいる車の横にバックで駐車する時は、お互いの運転席同士のドアが向かい合わせになってしまうのをすっかり気付かずにいたのだ。私の運転席のドアには、その時に隣にいた車の運転席を開けたときに付いた傷が残っている。こんな事ならば私もそっとなんて遠慮しないでバーンとドアを開けてやるんだったかな？と思ってしまう自分が悲しい･･･。 みやむー号に乗っていると、私の車ってワイルド〜と時々思う。この傷跡と、顔の変形を直した跡と、積もった落ち葉と、土埃･･･。学校の駐車場にいても何ら違和感が無いっていうのも微妙な心具合である。車をいつか手放す時が来たら査定などがあるかもしれないと、気を使って運転していても所詮は「誰か」にもたらされるトラブルの方は防ぎようが無いと気付いてしまった。 日本では信じられないことだったはずなのに、車の傷なんてさほど気にならなくなってきた。そんな、まるでアメリカ人のよう･･･。これも1つの環境への適応なのかもしれないけれど、少なくとも自分が傷を付ける側にはならないように心がけたい。ぶつける方は簡単なのに、ぶつけられると途端に人が変わって自己主張をされたらたまらないもの。