夏に、暑さと勢いで申し込んだLatinDance Salsa
のレッスンがとうとう始まった。今までの人生において盆踊りとフォークダンスしか知らなかったこの私に、変化の時がやって来た。サルサが私にもたらす何かを手に入れるべく張り切って行ってみよう。冬までに情熱のサルセーラに変身だ！
※サルセーロはサルサ愛好男性、サルセーラはその女性版。
ＥSLの授業が終わりに近づくにつれて、妙に緊張してきた。「今日からサルサだよ〜、ついに始まっちゃうよ〜ぅ。」後になってこういう事を考えるのは私の悪い癖だ。だけど、多分みんなバリバリ踊れるんだろうなぁ〜･･･と想像が膨らみ、つい不安になる。
午前の授業が終わってから、食事もしないまま体育館のある棟へ行ってみた。それまでも建物は知っていたのに、私がそこに足を踏み入れるのは初めてだった。私も一応学生のはしくれなのだから堂々としていればいいものの、見慣れない場所の探険はついオドオドしてしまう。
とりあえず体育館と小さめのスタジオと、ジムを順番に覗いて、ついでに更衣室やシャワーの場所なども確認した。昼休みにバスケや空手をしている学生が数人いた。学校の体育館なんて、何年ぶりだろうか。更衣室に入った時に、扉が劇場の防音扉のように2枚になっていて、開いてすぐに中が丸見えにならないようになっていた。そういえば私の高校の更衣室は、ドアの向こうはカーテンだったっけ。懐かしい。
レッスン前の付け焼刃とはいえ、お昼を食べながら日本から持ち込んだダンス教本をパラパラと読んだ。このダンス本の表紙には、ゴージャスなドレスを身にまとって踊っているカップルの写真がでかでかと印刷されていたので、ちょっと目立つし恥ずかしかった。カバーを外しても同じデザインだったので、表紙を伏せるようにしてこっそりと見た。こんなことでは、本当に情熱サルセーラなんて程遠いよなぁ・・・。
ところで、サルサのレッスンが始まるまでの間、私が悩んでいたのは「レッスン中の服装」についてだった。申込み時には何も特別な案内は無く、服装のルールや靴の種類についても規定はなさそうだった。サルサって、何を着ていけばいいのだろうか。
私のダンス教本には、「練習着はシンプルで動きやすい練習用ドレスで、ダンス靴の着用が基本のマナー」と書かれていた。私は何にも用具を持っていなかったので、ちょっと心配になった。ダンス本で、コスチュームの例として使われていた写真は、練習用だと書かれているにも関わらず綺麗なドレスだった。練習にも、簡単ながら衣装を着用する事で、人は気分が盛り上がって表現力が豊かになるのだという。確かにそれは分かるような気がするが･･･。
写真ではラテンダンス用の靴も、つま先の開いたサンダルのようなパンプスだった。ダンスの種類によっても服装が違うのだ。あ〜、私なんて運動用のスニーカーで来ちゃったよ。本当に大丈夫なのだろうか。
カレッジでのダンスの授業はどちらかというと補助的な存在で、ダンス一筋のクラブやダンス教室ではない。一体どのくらいのレベルを要求してくるのかは分からないけれど、きっと皆で楽しむようなカジュアルな雰囲気だろうと思っていた。でももしかしたら欧米社会は子供の頃からダンスに親しんでいるし、ダンスの服装も暗黙の了解があるのだろうか？もしみんなすごい衣装だったら、どうしよう。
･･･しかし、スタジオへ行くとそんな心配は全く無用であることに気づいた。基本的に、学生たちはフィットネスウェアやスニーカーで、思いっきりカジュアルな服装だった。私はホッとしつつも、心の中ではそりゃそうだよね、と１人で納得していた。テキスト代が高いとぼやく学生に向かって、ダンス用のウェアを一式購入しろだとか、学校が要求してくるなんてことは無いだろうから。
時間になり全員が集合した。そこには、ダンスをする意欲が微塵も感じられない服装で登場した学生が何人かいた。例えば靴の先しか見えないほどダボダボの腰履きジーンズの人、動きにくそうなタイトなスーツの人、トレッキングシューズの人･･･などなど。その反面で、気の利く人は、スニーカーからわざわざ革靴に履きかえていた。このやる気の違いがすごい。このごちゃ混ぜ状態では、私の格好なんでごくごく普通に馴染んでいた。何事も、考えすぎなのよ、私は。
お恥ずかしい話なのだが、服装への心配のあまり、私は何日か前に1.5フィートの黒い布を買ってきていた。いざとなったらこれでナイスなウェアを縫ったるわ〜･･･と、そのぐらいの覚悟はしていたのだ。どうやらかなり無駄な気遣いに終わった様子･･･。まあいいか、この布でハロウィンのマントでも作ればいいさっ。
さ〜て、とうとうサルサが始まるぞ。って、どんな踊りなんだろう？ ★つづく★
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miyamuサルサ道を行く （準備編） 
