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コミカレESL潜入記 


誤解したら勿体ない 

Feb 13, 2003

室に入ると、いつもと何か雰囲気が違うので一瞬教室を間違えたかと思う。いや、でも顔ぶれはいつものクラスメイトだし・・・。キョロキョロしていたら、教授から「あらー、miyamu!」と声をかけられた。それはなんとG教授!G教授のことは前回ESL105の時に教わっていたから、当然知っていた。G教授がここにいるということは、今日はいつもの教授がお休みなのか?

当の教授が来ないことへの説明は特に無いまま、何事も無かったかのように授業が始まった。今日はエッセイを書く予定の日だったので、教授からの長い講義は無い。きっといつもの教授のピンチヒッターとして、エッセイの監視役としてG教授が来たのだろう。何せ教授同士も仲良しみたいだから。でも、G教授の登場で私の1日が変化しようとは思いもしなかった。



は前回のセメスターを通じてG教授には大変お世話になっていたし、彼女のやり方をよく知っていた。だから、G教授が机の上に携帯電話を出して操作していた人に向かっていきなり「携帯をしまいなさい!携帯を授業中に出しておくのはマナー違反よ!」と注意した時にも驚かなかった。G教授は緊急の連絡に備えて、授業中でも携帯の電源をONにしておいて良いという主義なのだが、その代わり鞄の中にしまっておくことをルールにしているのだ。

G教授は男性勝りの毅然さのある厳しい人で、慣れていないと「強烈〜・・・」と感じてしまうキツさがある。それでも全ての注意には真意があるので、厳しいことを言っても心根はやさしいのだと感じ取る事ができる。彼女のキツさは決してイジワルではなかった。注意一つ取ってもヒステリックではなく、とても冷静に鋭く言われるので思わず納得させられてしまうのだ。

き合う時間が長くなればなるほど感じたのは、G教授の学生思いの優しさだった。英語を習う上で挫けそうな人をシッカリ支える、皆にとって英語の母であるかのように貴重な人だった。いざという時に信頼できる教授というのは、実はとても少ないのだ。



授同士での連絡があってのことだと思うが、エッセイの前にG教授は私たちに短い講義をしてくれた。彼女の授業は参加していておもしろい。ちょっと毒舌、でもセンスの良いユーモアが効いているので、文法の説明さえも飽きない。時間をあっという間に感じさせるテンポの良い授業は相変わらずだった。手際の良い進行も、分かりやすい説明も、変わっていなかった。G教授と比べてしまうと、いつもの教授が今ひとつに感じられてしまう。

ッセイのテーマとなっていた論文を復習した時に、1センテンスずつリレーで朗読させられた。これが間髪いれずに「次!次!」と順が回ってくるので気が抜けない。G教授は朗読中に発音の間違いがあるとその度に単語を指摘し、正しい発音に言い直させる。この指摘は私にとってはありがたいのだが、一部の人にとっては「いちいちウルサイ!」のようだった。間違えている発音を、間違えたままで「ハイOK」と終わらせてしまう教授よりも何倍も学生思いだと思うのだが・・・。



う、G教授のやり方には好き嫌いがあるのだ。

刻者に向かって「10分も遅れて登場なんて、授業を受ける気あるの?」と注意する。

業中にメモを回してお喋りをしていた何人かの元へツカツカと歩み寄り、紙をパッと奪い去ってグシャッと丸めて、ゴミ箱へポイッ!そして一言「ここは高校のクラスルームじゃないわよ。もっと大人になりなさい」と、ビシッと言い放つ。

いつい同じ母国語で固まってしまい、たのしく会話しているグループに向かって「この建物の中では英語以外話さないようになさい!それが何よりもあなたのためになるわ」と水を差す。

イレから戻り、そのまま席に着こうとした人に「ドアを開けたらきちんと閉めなさい」と閉めに行かせる。

きなりいつもの教授の代わりに登場して、こんなにバシバシと学生にあれこれ注文し、ごもっともな言葉で打ちのめされては反感を募らせる学生もいる。

ッセイの時間中にG教授のポケベルが鳴ったとき、彼女が「ちょっと失礼」と教室を後にするやいなや後ろの方から「何あれ。サイテーじゃん!自分こそマナーサイテー!」と文句が聞こえてきた。その声の主は、最初に携帯を机に出しておいて注意された彼女だった。最初は英語で文句を言いまくり、本人がいないのをいい事に今度はスペイン語でなにやら仲間にまくし立てていた。

が信頼する教授に対して、そんな風に文句を言われるのを聞くのは良い気分がしない。「あの教授はいい人よ」と、弁護できない自分もなんだか悔しい。ワガママな子供みたいに、何かにつけて文句ばっかり言ってる人は日本でもアメリカでもいる。実際に短いながらもG教授の講義を受けたんだから、彼女の授業の質の高さを感じなかったの?と疑いたくなる。G教授のよさを分かれないのは勿体ないことだと思う。



ッセイの拘束時間が終わり、G教授に声もかけずに去ってゆくのはG教授を1回で嫌いになったクラスメイトたち。自分の母国語でおしゃべりしながら、教室を出てゆく。すかさず「英語で話しなさい!」とG教授の声が追いかけると、やれやれという表情で帰って行った。

G教授はエッセイを書く間中、質問に来る1人1人に対して親身になって納得行くまでアドバイスをくれた。ペンが進まない人の近くに行っては、一緒になってアイデアを相談していた。厳しさと優しさにメリハリのあるG教授。厳しい部分だけしか見ないで気に入らない教授だと誤解するなんて間違っている。なんだか悲しい。

は帰り際に、G教授と少し話をした。この時ばかりは「またG教授の授業が受けられるなんて、嬉しかったです」と思ったままに伝えた。そしてもう1人教室に残っていた人と、G教授が現在教えているクラスのことを聞いているうちに、今G教授のクラスを受けている学生の中に、私がカレッジに通い始めた時に出会った一番最初のクラスメイトがいるのだということが分かった。

の人はクレジットのコースが始まる年に私よりも一つ上のクラスに進級してしまった人で、今回私がスキップしたことで「彼女に追いつけたかな、また会えるかな?」と密かに思っていた友達だった。でもどうやら彼女は連続でスキップして、さらに上に行ってしまったのだ。また頑張っている人の話を一つ知ってしまった。刺激を受ける。G教授は「miyamuに会ったことを話しておくわ」と言っていた。



ねて教授にお礼を言って、私も教室を後にした。一緒に残っていたクラスメイトと話をしながら廊下を歩いた。エクアドル出身で、私よりも年上の落ち着いた感じの女性だ。そうしたら、突然その人が「あの教授はとてもいい人ね」と言いだした。「後ろの方では色々文句を言ってる人もいたけど・・・次のセメスターではあの教授のクラスがいいわ」と!

れから彼女は、G教授の授業を初めて受けたけれどいつもの何倍も楽しかったし、学生思いの人だと感じたというようなことを話してきた。私は急に興奮して、「そう、あなたもそう思う?私もあの教授が素晴らしいと思っていたの!」と伝えた。他の誰かも自分と同じ気持ちでいたという事が、とても嬉しく感じられた瞬間だった。

ラスメイトの酷い態度を見て、1度は自分のことのように悲しい気持ちになっていたのに、今度はまた別のクラスメイトの一言で心まで軽く笑顔になってしまった。今度はもっと堂々と、自分の思った通りに「G教授はいい先生なのだ」だと言ってやろうと思った。とても単純なことなのに、G教授とクラスメイトとに心から感謝した出来事だった。







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