コミュニティカレッジでの授業には、数々の面白いハプニングが隠されていた。ただの英語の授業を、何か特別なイベントであるかのように感じさせてしまうのは、先生がユーモアのある人だというのが大きいのだろう。また、集まった学生達もとにかくノリがよいのだ。
そんなわけで、私が「今までこんな授業は受けたことが無い!」と思った、授業中の出来事を思い出しつつ紹介したいと思う。シャイな私のツボにはまった愉快な出来事である。
みんなで連想ゲーム!?
私達は「101 American Customs」という教科書を使っていた。この教科書には、アメリカ人の習慣や食事、ジンクス、ボディランゲージなどのトピックが全部で101項目書かれていた。
この教科書を使うときは大抵、先生は教室を4〜5人のグループに分けた。そして、それぞれのグループに異なるトピックの書かれたページを割り当てる。まずはグループごとにそのトピックについてのディスカッションをして、最後に教室全体で意見交換するというのが基本的な流れだった。
たまに先生は学生達に知恵を絞らせた。先生は皆に、自分のグループに割り当てられたページを隠すようにと言う。すると、まずグループの学生達は小声でディスカッションをして、そのトピックについて言える事をいくつかリストにする。次にそのリストをヒントにして、教室に1つずつ発表してゆく。他の学生達は、そのグループが一体何の事を話しているのかを連想ゲームするのだ。
例えば私の与えられたページに「シリアル」について書かれていたら、他の生徒たちに1つずつヒントを言う。「朝に関係する」とか「便利なもの」とか「牛乳をかける」とか言っているうちに、誰かが答えを当ててくれる。しかし誰も分かってくれないトピックだと、ヒントも出し尽くしてしまって厳しい。
こういうディスカッションは学生同士のコミュニケーションにも一役買って、教室が明るくなる。でもこれは普通の授業かもしれない。
ジェスチャーするの!?
連想ゲームの時と同じ教材を用いて、今度は言葉を使わずに自分の与えられたページについてを「演じる」なんてことがあった。他の学生がそのジェスチャーを見て、何をしているところかを当てるのだが・・・。
それを聞いて、何〜?と思ったのは私だけなのだろうか?他の学生はノリノリで楽しそうだった。必死に何かを伝えようとジェスチャーする姿は確かに見ていると楽しい。しかし見るのとやるのとは大違いだ。私にとってジェスチャーとは、かなり緊張の行動なのだ・・・。しかも先生が言うには、教壇に出て皆の前でジェスチャーするということらしい。
ああ、こればっかりはかなり恥ずかしかった。私は「ビンゴ」をどうやってジェスチャーしようか、本気で悩んだ。とりあえず、ビンゴの紙を持ったふりして椅子に座り、「ビンゴ!」と口パクで叫びながら興奮気味に立ち上がったら、誰かが「分かった、ビンゴでしょ?」と答えてくれた。ホッ。
連想ゲームもジャスチャーも、発想の違いでまったく見当違いの答えが飛び出したりするから想像以上に楽しいのだ。学生達の、正解したりはずれたりで一喜一憂するリアクションもまったく違うので、こうまでお国柄が出るものかと思った。だってこれらのゲームで、大人が本気で熱くなっているのだから!
本気で歌うの〜!?
なんとアメリカで日本の国歌を歌う羽目になるとは思わなかった!!先生が「アメリカの国歌」について話している途中、授業の途中で誰かが自分の国歌を歌いだしたのだ。それだけならよかった。先生が「せっかくだから1人ずつ歌って」などと言い出したからもう・・・。
中南米諸国の出身者は、国家は学校では毎朝歌うものだったらしい。彼らは楽しそうに歌って、そして終わると「いい歌でしょ?」と誇らしげだった。盛り上がる教室・・・。
かつて私が通っていた高校では「日の丸・君が代反対」という雰囲気があったというのに(今は法律が変わり、きっと高校も変わったのだろうが。)毎朝国歌斉唱とは、日本とは大違いだなぁ。しかし日本もそうなったら、ちょっと怖いか。
ところで、テンポの良いマーチ調の国歌(どの国だったかな?)の後で、スローで重たいムードの「君が代」をアカペラで歌うのには抵抗がありませんか?皆さん!!
そんな私の都合などはさておき、歌う順番になってしまった。私はハァと一息ついてから、仕方無く「き〜み〜が〜〜よ〜〜は〜」と歌い、そこまでにした。他の学生からは「もっと歌え〜」と非難(?)があったけれど、もう勘弁してくださいという気分だった。私は耳まで真っ赤になってしまった。誰も日本の歌など知らないだろうし他の歌を歌っておけばよかったかな?なんて今更思う。
何はともあれ、こんな風に楽しく笑って授業が受けられることを嬉しく感じたものである。皆で声をあげて笑うと、お互いの距離がグッと縮まるような気がした。大声で笑うと、私もクラスの一員なんだと思えた。それにしても、国歌はビックリしたなぁ。シャイな私にはほんときつかった。