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コミカレESL潜入記


とある昼休みに

前と午後の授業の間に、ちょうど1時間の間隔があったので、私はいつもこの時間に早めの昼食を取っていた。昼休みになるといつも足を運ぶコミカレのカフェテリアは、私の好きな場所だ。ここへ行けば誰かに会えるし、宿題も出来るし、おしゃべりもできる。もちろん食事も出来るが、まあ・・・そんなに期待できるものではない(笑)。

フェテリアにも、もしかするとその学校毎に異なる雰囲気があるのかもしれないが、ほんの一例として私の通うコミカレの場合を紹介する。広い長四角の室内には、丸と四角のテーブルがたくさん配置され、それぞれに4〜6客の椅子が置かれている。常に控えめの音で音楽が流れ、広い窓からは外の様子が伺える。いつ行っても誰かがいる所を見ると、学生にとってここは快適な場所で、友人とのコミュニケーションにも自習にも適しているようだ。

こで売っているものは、ファーストフードやデリのメニューに近い。サンドやピザや揚げ物やサラダなどが食べられる。それに果物やパン、飲み物やスナックなどが買える。まずまずの品揃えである。カレッジという場所の為か、全てのメニューは良心的な価格設定なのが嬉しい。味の方は・・・まあ、普通かな。



    
           午前11時、カフェテリアの売り場周辺。まだ空いている。



が午前の授業を終えカフェテリアに入ると、いつも同じような顔ぶれのクラスメイト達が集まっていた。私と同じように午前と午後に授業がある人たちと、午後の授業の前に早めにきて昼食を取っている人たちだ。そして恒例の挨拶をしたら、「今日の宿題なんだったっけ?」と会話が始まるのである。

らの多くはスペイン語圏からの出身者だった。その輪の中に私が1人混じっていると、誰もが共通の言語である英語で話さなければならない。とはいえ母国語で話した方が早いし、的確な内容が伝えられることもあり、スペイン語のみが飛び交う時もしばしばである。ちょっと寂しいような、そんな時はスペイン語を聞きながら1人でコーヒーをすすっていた。

「英語で話そうよ!」とリクエストすればよいのだろうが、進学やビザの話などの大事な会話は共通の言語の方が良いに決まっている。日本人同士で、あえて英語で話をする必要が無いのと同じだ。時々私は「何を話しているの?」と訪ねた。そうした私の様子に気遣って英語で説明をしてくれたが、それは真面目な話題か、英語に出来ないスペイン語のジョークが多かった。

ーブルを囲んで話す内容は、授業の事、先生の事、進路の事、家族の事、自分の出身地や国の事などが多かった。私はクラスメイト達の国の様子を聞くのが好きだったし、彼らも日本という国について興味があるようだった。こうした小さな異文化間交流が、カフェテリアのあちこちに見受けられた。



ラスメイトとは、お互いに、片言であっても英語で話しをするのは練習になるねと言い合った。私はこの学期の初めの頃、カフェテリアでいつも1人で過ごしていた。大抵の日、宿題をしたり予習をしたりして昼休みを潰していたのだ。それがいつの間にか一緒に過ごす友人に恵まれて、1時間の昼休みでは足りないなどと思えるようになっていった。とても嬉しい変化だった。

語を母国語としない人との会話は、ずいぶん楽に感じるし、なぜか安心できる気がした。自分も相手もハンデがあるのは同じだと、心のどこかで思っているからなのかもしれない。実際、彼らとの会話はゆっくりで、お互い発音が悪くて、言いたい単語も分からないなんて事がしょっちゅうだった。しかし、お互い「分かろうとする働きかけ」をしているので、通じてしまうのだ。

休みを課外授業のように大切にしていたら、私の中にも発見があった。間違ってもいいから、ボロボロの切れ端の言葉でもいいから、口に出してみる勇気。言いたいことを考えてから言うのではなく、言いながら言いたいことを伝えること。ほんの少し、これらの手がかりを得た。これは英語や外国人への「慣れ」だろうし、誰かに向かって、自分らしくいるための第1歩だ。

追記

カフェテリアで働いているヒスパニック系のお姉さん達も、最初は無愛想で怖かった。私は初めてコーヒーを買った日から、レジで「Hi.」と声をかけていたが、私の声が小さすぎるのか返事が返ってくることは無かった。それが、少しずつ
変化していった。ある日、お姉さんが「Hi.」と返事をくれた。そして次の日にも返事をくれた。日を重ねるにつれて彼女の怖かった表情にもうっすらと微笑みが浮かぶようになった。

「Hi.」そんな一言だって、私を強くするのだと思った。継続は力なり。





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