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12月に入ると、アメリカのあちこちで本格的に売られ始めるクリスマスツリーの生木。本物の木が放つ森の香りに誘われて、今年は生のツリーを買うことにした。
せっかくここまで大きくなったのに切り倒してしまうなんて・・・と、生木を一時のクリスマスツリーとして使ってしまう事には大賛成とは言い難い気もするけれど、私としてはもう切られてしまったからには美しく飾って無駄にしない方が木は幸せかな?と思うようにしている。 |
ツリーを買いに行った日に店頭にあったのは3種類の木だった。木は人と同じで、十人十色。背の高さも枝の分かれ方も形も一つ一つ違う。アルバイトのお兄さんによると、木の品種によってそれぞれ異なる個性があるそう。私の行った店で取り扱いのあった3種類の木について少々解説すると。
フレイザー種(Fraser Fir)はもみの一種で、針状の短いとげが枝に沿って上向きについている。葉の裏が白っぽいので銀色に見え美しい。枝に付いた葉の密度が高く、重厚な感じに飾れる。枝が上向きに付いているので、広がらず鋭角な三角形に見える。枝も丈夫なので大きいオーナメントや重いものにも向いている。また、木のもちの良さも特長の1つ。
バルサム種(Balsam Fir)はもみの一種で、非常に香りが良い品種。フレイザーよりは枝が横に広がっていて、葉の緑が濃い。木の形が整っているし、枝の量も多いのが特長。すがすがしい森の香りを長持ちさせ、退色や葉が落ちるのを防ぐために、新鮮なものを選ぶべし。
ダグラス種(Douglas Fir)はもみの一種で、葉が細く長めで落ちにくい品種。深い緑色と明るい緑色がある。ただ、この辺りでは他の2種に比べると流通量が少ないみたい・・・。
スーパーの店頭などで売られている一般家庭用のツリーは、背の低いものでは約120cm程から、高いものだと250cm程で背が高くなるほど値段も高くなる。クリスマスに近づくと少しずつ値崩れしてくるが、ピーク時では6-8フィート(約2m)の木が50-80ドル前後で売られていた。(最も売れ筋なのは180cm位のサイズ。アメリカの家はやっぱり天井が高い!)
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それでは、木を選ぼう!
無造作に立てかけられた生木から、これぞというお目当ての木が見つかったら、ネットから出して全体の姿を見せてもらう。それで決定ならば、木の断面を新しく切り落としてもらう(fresh
cut)。
写真は、木を横にしてチェーンソーでカットしているところ。 |
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この機械は何だろう?
これは広げてしまったツリーを持ち帰り用に縛る機械である。赤い輪の部分に木を下の方から入れて、ワイヤーでそれを引っ張る(写真参照)。この輪をくぐって出てくる間に、木の周りに紐がぐるぐると巻きつけられる仕組みになっている。色々な機械があるのね〜。
これで木が小さくなったところで、あとは車に乗せるだけ! |
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この車をご覧あれ!
ツリーは自家用車の屋根にくくりつけられて持ち帰る。12月の週末には、このような姿で走っている車を本当に良く見かけるので楽しい。
購入後の木を車に乗せる作業は一苦労。でも、大抵のお店はサービスでやってくれるので大助かり。屋根に乗せるか、トランクに入れるかはお客の希望次第。でも、トランクに入れると後で車の掃除が大変!(それに、もちろんトランクが閉まらないのだ!)
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普通のセダンの場合はどうするかというと、このように車のドアを開けて、ドアを閉めるために車体に付いているフックに紐を通して木をくくりつける。 |
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前後左右のドアでこの作業を行って、紐をピンと張って、木がシッカリと固定されたのを確認。
この後、多くのお客は高速道路をビュンビュン走って家に帰るので、ここのチェックはとても重要。 |
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最後にもう1つ忘れてはいけないのはリース!このリースは、香りの良いバルサム種で作られているものが多かった。好みの大きさのリースを買ったら、リボンやオーナメントを付けて飾り付け。これは玄関のドアに掛けるのが一般的。 |
ところで・・・
クリスマスツリーはその年に売れる分だけの苗を、毎年新しく植えて行くという商売らしい。(天然の木が伐採されたらたちまち森がなくなってしまいます・・・)こうしてクリスマスツリーになるためだけに育てられる木・・・こんな商売が成り立つとは、さすがは広い国土を持つアメリカ、という感じがするのは私だけだろうか?余談ながら、私の住む地区では使用後のツリーを回収する施設がある。こうして一箇所に集められたツリーは木材などに利用されるそう。
毎年のようにこんなに大量の生木が売りさばかれ、各家庭に祝われてしまうなんて、本当にこの国ではクリスマスが大切なのだなぁ・・・と感じる。クリスマスの意味が日本とは全く違うのだ。
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