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Movies

 映画を英語で。

 Kramer vs. Kramer 
(クレイマー、クレイマー)
1979年/アメリカ

一言で言うなら、Terrificな映画!

「Kramer vs. Kramer(クレイマー、クレイマー)」は、若きダスティン・ホフマン、メリル・ストリープ共演の名作であると同時に、1979年のアカデミー賞で5部門を制した作品で、観た事がある人も多いのではないかと思う。制作から25年経った今見ても変わらぬ新鮮な感動があり、何度見てもつい涙してしまう映画だ。テーマは親子の絆で、はっきり言って私はこの手の映画に弱いのだ。カレッジのESLのLAB(リスニング強化の補習)で教材として用いられた時も、教室でひっそりと涙を拭ったほどである。(もちろんラテン系クラスメイト達は派手にオイオイ泣いていた・・・そのストレートさが素敵。)



台はNewYork。物語は妻の家出から始まる。典型的workaholic(仕事中毒)のテッド(ダスティン・ホフマン)が夜遅く家に帰ると、荷造りを終えた妻ジョアンナが思いつめた顔をして待っていた。そんな妻の様子にも気付かず真っ先に電話でビジネスの話を始めるテッドに、ジョアンナはクレジットカードや家の鍵、夫婦名義の小切手などをまとめて返して逃げ出すように家をでる。テッドにしてみれば突然の出来事に何が起こったのか、ジョアンナは何が不満で出でいったのかさえさっぱり分からない。自分は外でバリバリ仕事をして、家族を養ってやっているというのに・・・。そして残されたのは彼と、7歳の息子ビリーだけ・・・。

のジョアンナはメリル・ストリープ演じる、結婚のために仕事を辞めて家庭に入った都会の主婦。彼女にとって結婚生活は不幸せなものだった。家庭を顧みない仕事人間の夫は話を聞いてくれないし、子供の世話と退屈な家事に追われるばかりで、働いていた頃のような自分の生きがいや目的を失ってしまったのだ。愛する我が子の母であり従順な妻という型にはまった状態から、彼女はかつて持っていた自立心や生きがいを取り戻して、人生をやり直すべく家を出る決意をしたのである。この妻の設定は映画公開当時まだまだ残っていたウーマンリブ(Women's Liberation)の流れも汲んでいるのだそう。



婦の別居から始まった物語は、この先離婚と残されたビリーの養育権を巡る裁判に発展する。離婚や養育権を巡る裁判はアメリカでは日常茶飯事ともいえることながら、制作の1979年から25年経った今見ても古臭さを感じない。タイトルの「Kramer vs. Kramer」はクレイマー夫妻がビリーを愛しているがゆえに争うことになった状態を示している。邦題の「クレイマー、クレイマー」ではそのニュアンスが感じられず、私は最初この邦題が“ああ、クレイマー”ぐらいの意味なのかと勘違いしていた。

ョアンナに出て行かれた後で一気に露呈するテッドのダメさ加減や、父としていかに子供に無関心だったかなどを物語るシーンは、後半で人が変わったかのように素敵なDaddyになったテッドと対照的であり、これらは映画の大きな見所だ。小学校へ見送りをするテッドは最初は我が子の学年すら知らず、学校に着くなりビリーを放り出して走り去るのに、いつしか“行ってらっしゃいのキス”を欠かさず、何度も我が子を振り返って見送るようになる。そしてその肩には大きなヨレヨレのトートバッグ!最初の格好良いビジネスマンが台無しである。

子2人で食卓を囲むシーンが何回も登場するが、そこでの2人のやりとりもだんだん温かいものになっていく。また、有名なフレンチトーストを作るシーンは最初と最後に2回登場するのだが、テッドが父親としてどのように変化したかをはっきり表現している。



スティン・ホフマンの早口と、もごもごした声はリスニングしにくい。それに裁判のシーンでは弁護士と検事による攻防が早くて聞き取る以前について行くのが大変だ。余談ながら、裁判の最初に判事が「Oyez!Oyez!Oyez!」という掛け声をするのだが、これは「静粛に!」というような意味の決まり文句である。

れでもテッドとビリーの会話は子供相手の話し方なので比較的易しい。例えばこんなシーン。母親恋しさに反抗的な態度を取るビリーを厳しく叱るテッド。部屋で泣いていたビリーの様子を見に来たテッドにビリーが尋ねる。
「Daddy, Are you...gonna go...away? That's why mommy left...isn't it? 'Cause I was bad...」
テッドは幼いビリーが自分のせいでジョアンナが家出をしたのだと言いだしたのを聞いて、小さな胸を痛めている我が子への愛おしさに気付く。そして
「Of course I'm not going away. I love you very much. I'll be right here. No, pal. Your mom loves you very much. The reason she left didn't have anything to do with you…」
と、なぜジョアンナが家を離れてしまったのかという理由をビリーに話しはじめる。palというのは君とか、仲間という感じの呼びかけである。テッドがビリーに自分が悪かったのだということを、ゆっくりと語るこのシーン。父子がお互いの心を通わせて行く名演技は必見である。
じきに変化してゆく父と子の親子関係は観ていてほのぼのと心地良い。しかしながら、母親と父親の両方を愛しているビリーの気持ちを思うとただ切ない。

後に、おまけで是非トライしてみたいのは、全編を通じてテッドが何回Terrificと言ったかというカウントだ。すばらしいとか、すごい、大変(良くも悪くも使う)という時に、テッドが言う表現。この口癖が見たいがためにもう一度見たくなるほど印象的なこの一言に注目したい。それに忘れちゃいけない、Terrificなラストシーンもお見逃しなく。

Feb 25, 2004 & Day by Day Mar 3, 2003




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