ABOUT PrivateLesson 　　日本で外国人への免疫をつけるのだ！
捨てられた生徒・・・先生の素性
Wendyとの体験レッスンから数日後、チケットも無事に郵送されてきた。そして私のレッスンが始まった。Gスクールには、その学校ならではの特別な教育方法などは無さそうで、内容や教材も生徒と先生が相談の上で決定するらしい。 とはいえ私は、自分でどうこうしたいなどと要求できる段階ではない。結局、Gスクールが推奨する教科書でやってみることにした。この本は初心者に優しいフルカラー、イラストだらけで、リアルな日常会話と、リアルな日常風景が満載だった（したがって1Pあたりの文字数は控えめ）。 はじめましてから始めたい、私のレベルには実にピッタリ。Wendyは子供へのレッスンを担当することが多かったので、レッスンの日によってはWendyが子供の為に作った教材がそのまま登場したりした。外国の俳優の写真や、食べ物の切抜きなどを持ってきて、そこから拾った話題をする日もあった。そのまま１時間、教科書以外の話題で終わることもあった。 私のレッスンペースは、1回1時間で週に2回程度だった。Wendyは毎回レッスンの最初に、前回の復習をするので大変ためになった。なんといっても私のペースはかなりゆっくりで、しかもレッスンの最初の数分間は毎回のように緊張してしまうので、その復習が自信回復にも有効だった。 Ｐrivateの利点は、当たり前だけれど先生を独り占めできるということで、グループだったら発言しないまま通り過ぎてしまう小さな質問も聞けるし、家で思いついた質問もゆっくりと教えてもらえる。先生といる１時間は、私はお金を払って教育を受けようとしているお客さんなのだし、遠慮はいらない。（・・・といいつつ、遠慮していた私はアホです。） 英語のレッスン中に、さも理解したようなふりをしてはいけない。本当はよくわからないのに黙って、しかもニコニコと笑みを浮かべて、時にはフンフンなんて頷いたりしていると、痛い目にあったりする。 私は前述の通り、Privateのお客だったのに、それを何度もしてしまった。先生はそういう私の表情から、理解していると思い、どんどん話が奥の方へと進んでいってしまう。最後に、この話どう思う？と聞かれるまでウンウン言っていながらも、「実はよく分からなかった」と言うと先生はガッカリしてしまうのだ。 質問することや、分からないと訴えることは、ちっとも恥ずかしいことではないのに・・・どうしてだろう。無理をして、理解したふりをした。こんな風に先生一人にしゃべらせて、レッスン時間がもったいない。そのまま３ヶ月ほど、あっという間に過ぎてしまった。 夏本番、学生達は夏休みに入っている。私は週に2回程のレッスンを続けていた。お盆休みが迫ったある日、Wendyが言った。「夏休みを取るから、しばらくお休みする。」彼女は旅行に行くのだと楽しそうに言った。英国人にもお盆があるのだろうか？とおバカな事を一瞬思った。 そんな訳で私の次のレッスン日は、Wendyが10日後に帰ってきてから電話で決めることになった。Wendyの生徒は、彼女の携帯電話番号を知らされていた。Gスクールが先生達に貸している電話なのだろう。実際、レッスンのキャンセルは、Wendyに直接電話する決まりだった。 ろくに英語も話せない私に、それはかなりの難関だったけれど、キャンセルの仕方の台詞が書かれた紙を貰っていたので、曜日と時間さえ言えればなんとか通じた。内心では「また電話か〜イヤだなぁ」と思いながらも、Wendyには「Have a nice holiday !」と言って別れた。 それがWendyとの、最後のお別れだった。 私は、捨てられたの〜！？そう思った生徒は、私以外に何人いたのだろうか？その便りは突然やってきた。Wendyの夏休みが終わる頃、私宛に１通の手紙が届いた。Gスクールからだった。チケットも買っていないし、なんだろう。チラシかな？しかしその封筒の中には三つ折になったコピー用紙が一枚入っているだけだった。開いてみて、愕然となった。 　　　　　　　　いつもGスクールをご愛顧いただきありがとうございます、云々。 　　　　　　　　この度miyamuさまの担当講師、Wendy　---　が8月15日をもって 　　　　　　　　帰国、退職いたしました。 手紙に書かれていたことは事務的で、そっけなかった。Wendyはそうして突然Gスクールを去った。私に夏休みに旅行に行くことを楽しそうに語っていたのだが、その時きっと既に辞めることは決まっていたのだと思う。 捨てられた〜！騙された〜！辞めるんだったら本当のことを伝えてくれてもいいのではないのか？そう思うと怒りがこみ上げてきた。せっかくWendyとも慣れて、レッスンも楽しんでいただけに私はかなり、ショックだった。私は、彼女のことをいい先生だと信頼してたのに・・・。 後日、体験レッスンの日にWendyが私にくれた履歴書を見た。実は気なったことがあった。Wendyの趣味は世界中を登山することで、彼女の履歴書には、丁寧にも旅行した国や期間が書かれていたのを思い出したからだ。 かつてメジャー英会話学校のEで働いていた頃も、そんなに長く日本に居なかったのではないのか？観光ビザで、先生をしていたのかも・・・とつい思ってしまった。いずれにせよ、彼女がGスクールで先生として働いていた間が短かったのは事実だ。Wendy、もしかして富士山を登りに来ていたの？