ABOUT PrivateLesson 　　日本で外国人への免疫をつけるのだ！
最高のPrivate Lesson
１０月に入り、私は問題の「集金式レッスン」を続けていた。共通の秘密を持ったせいか、Elizabethとの関係は少しずつ密になっていた。言語という壁を乗り越えて、二人の心は近づくことができたのだ！これはまさに、言葉なんかではなくでフィーリングで恋する、国際恋愛の初期のような関係だった。（注・女同士） 私は毎週1回、まとめて予約を入れていた。私は時間に都合のきく主婦だったので、毎週違う曜日や時間を予約していた。レッスンの後、私は必ずElizabethに次のレッスンの時間を確認した。そうしないとお互い間違えたりする（実は2回ほど間違えた。）。Elizabethも、私の時間が終わっても気がつかないまま、30分くらいオーバーして次の生徒を待たせたりしていた。（私にとってはラッキーかも！？） Ｅlizabethはほぼ毎日、長い日は１日12時間くらいＧスクールで働いていた。しかし日によってはレッスンの隙間に数時間空いていたりして、講師業は不規則のようだった。彼女はだいたい2週間に1度は丸1日の休暇をとっていた。 ある日、レッスンの後でElizabethが私に言った。「次の休みの日に、浅草に行きたいのだけど、ｍｉｙａｍｕも一緒に行かない？」 私は浅草に行くことを了解した。実は私も浅草へは行ったことが無かったので、観光ガイドまで買って予習した。さて、Elizabethの手持ちの日本語は3種類。私の手持ちの英語は少ない。コミュニケーションは上手く行くのだろうか。レッスンでの2時間以上の長い間を、私は耐えられるのだろうか。スクールで教科書を片手に会話するのではないのだ。 当日の朝、その日は生憎の雨だった。私とElizabethはY駅で待ち合わせをした。私は約束の時間よりも早く着いたので、Elizabethはどの方向から現れるだろうかと、辺りを見回していた。実はとても緊張していた。 Ｅlizabethがやって来て、私の隣で歩き始めた時から、私たちが周囲の視線を集めているのがわかった。電車の中は混雑しており、周りの人々が気になった。まるで皆が私たちの会話をそっと聞いているかのように感じた。私が怪しい英語を必死になって話して、なんとなく変なことを口走っているのを、正直言って誰にも見られたくなかった。 私達は浅草で、Elizabethのアメリカへのお土産を探した。浅草の土産物店には、日本人としては趣味の悪い浮世絵風の茶碗や壁掛けなどが大量に売られていた。もしかしたらElizabethも買ってしまうのかと思っていたが、彼女はそれらには興味は無く、千代紙で作った小箱や、竹久夢二の絵葉書などを買っていた。そして、通りにあった和食器店で、ぐい呑みセットを4つも買っていた。すっかり大荷物になってしまった。 浅草の浅草寺で、私はElizabethと写真を撮った。そこで焚かれていた煙にEｌizabethが苦しそうにしていたので、私たちは早々にそこを後にした。 帰り道、駅で切符を買うときにElizabethが六本木にあるHard Rock Cafeに寄りたいと言うので、急遽行く先を変更した。彼女は世界のあちこちでHard Rock Cafeに出向いては、Ｔシャツを買っているのだと言う。2人とも六本木ということ以外、場所を知らなかったのに、とりあえず六本木駅まで行った。 地上に出て、私が誰かに道を聞こうかをためらっていたら、Elizabethが通りすがりの外国人に英語であっという間に聞いてしまった。私、別にいなくても良かったかも･･･と少々ショックを受ける。アメリカに行って、こんな性格じゃまずいなぁとつい考えてしまう。ElizabethはTシャツを無事手に入れて、嬉しそうだった。その後、私たちは帰路についた。 長い一日だった。私がこんなに英語（＋ボディランゲージ）で過ごしたことは、それまで未知の経験だった。Elizabethは、私と言葉が通じないことでもどかしさを感じたかもしれないが、その日は楽しく過ごせたと言ってくれた。Elizabethは私のことをお気に入りの生徒なのだと言って、よく誘ってくれた。私たちはレッスンの空き時間に食事に行ったり、買い物に行ったりした。 Ｅlizabethとの出会いは、私にとってとても貴重な経験だった。現在アメリカにいても、残念ながら私には彼女のように付き合えるアメリカ人の友人はいない。 こうやってレッスン以外の時間を過ごせたら、英語の上達は早いだろうなと思う。最も早く語学を上達させる方法は、その言語を話す友達や恋人を作ること･･･これは、事実だ。私はもうダメなので、今独身の人は、最高のPrivate Lessonが出来るパートナーを見つけるのも良いかもしれない。もちろん愛情を持って、ね。