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英語で日常生活記録

 豪腕歯科医院(その1) 

メリカにて歯科にかかった。突然、歯が疼くような痛みに襲われたのだ。その痛みは私の生活を妨害するほどで、いつまで経っても収まりそうもなく、その上だんだん強くなってきているようだった。これは、選択の余地が無い。歯医者へ行かなければならない。

は虫歯が出来やすい体質のようだ。子供の頃から注意していても、学校で毎年行われる歯科検診に引っかからない年は無かった。大人になっても、虫歯は私の悩みの種だった。もちろんアメリカに来る前には、歯をチェックしてきたはずだったのに・・・。

メリカに限らず、海外で病院や(まして歯科!)へ行くのは、非常に不安だと思う。私はそれまで、言語の不自由があっても、普段の日常生活には大きなトラブルもなく過ごしていたが、これと医者にかかるというのでは話が違う。



この歯科医院がよいのかなどと検討する間もなく、事の緊急さと家が近いという理由で、日本人の受付兼通訳のいる歯科医に予約を取った。その時点で痛みの幅がかなり広くなっており、どの歯が痛いのか、自分でもよく分からない状態になっていた。虫歯容疑のかかった歯は2本あり、口の一番奥で隣り合っていた。その片方は日本で作った差し歯だった。

の2本の歯を支える歯茎は、炎症を起こして腫れていた。コンコンと槌で打っても、どちらが痛いのかよく分からなかった。困ったことに、レントゲンで見てもはっきりとした原因が分からないようだった。でも結局2本とも、その日に治療が開始されてしまった。差し歯は粉砕され、歯はどんどん削られてゆく。オイオイ、どうなってるんだ!?私は「アガガ・・・」と口を全開した状態で、かなり慌てた。

をしているのか気になったら、その都度いちいち、片言の英語でも躊躇せずに聞けばよいのだろうが、何分初回はその場の雰囲気も分からないで乗り込み、私自身も緊張のあまり、無口(というか治療中は喋れないし・・・)にされるがままでいた。これではいけない。

本的に通訳は治療の後で、先生が「本日の説明」をする時にだけお世話になるのだ。こうなると事後報告的なもので、治療中はまな板の鯉状態で、何をしているのか分からない。日本の医療の現場で、医者にあれこれ口を出す患者は少ないし、私自身も歯医者では常に無口なのだが、気になったらいつでも母国語で質問できるという安心感があるのは大きい。



の日は歯茎が腫れて膿んでいたので、これ以上治療が進まないというところまで行ってしまった。この歯茎の膿を出すための小さな穴を開けて、次の治療に備えることになった。炎症止めの薬を出してもらい、精根尽きた抜け殻のようにフラフラと家に帰った。

いうのも、アメリカの歯の治療は膨大な額で、精神的にも大きなダメージを食らったからだ。その一回の治療費を請求された時は思わず目眩がした。日本円にすると、5万円程であった。その日の治療で、もう2本とも傷口は開かれていたので、なんとか落ち着くまではこのまま治療を続けなければならない。となると、いったい幾らに必要なのだろう?考えただけで憂鬱な気持ちになった。



を飲んで大人しくしていたが、夜になり、歯茎の炎症が悪化してしまった。食べる事も出来ないほど痛む状態で、なんとかお粥を食べて朝になるのを待った。先生がはじめは痛みがあるかもしれない、と言っていたからだ。翌朝起きてみると、私の歯茎はさらに腫れあがっていた。そして、目が覚めると同時に猛烈な痛みがやって来た。どうやら私は、次の治療まで耐えられそうに無い状態に陥っていた。

の異変に、私は飛び入りで診てもらうことになった。「とっても腫れて、痛いです!」と訴え、治療中の箇所を見ると、膿が出るはずの穴が塞がり、さらに腫れてしまったようだった。先生はそこをもう少し広げて、指で膿を押し出すようにした。気絶しそうに痛かったが、先生が「ゴーメンナサーイ」と日本語で言うので、ちょっと可笑しかった。

の日の治療の甲斐もなく、私の歯茎から腫れは引かなかった。先生は、彼の歯科治療の範疇を越えたと判断し、口腔外科の先生を紹介してくれた。この腫れは歯茎の内部に隠れた部分が原因で、その除去は外科的な治療となるというのだ。なんだか恐ろしい話になってきた・・・。

メリカは、特化した技術や分野ごとに医療が分化している。私はそれを理解していなかったので、先生が次の先生に私を委ねるという事に違和感を抱いたが、それは日本的な感覚だと知った。先生は歯科全般と、外科的な治療をする口腔外科と、複雑な神経治療をする専門医の3人で連携しているのだった。それぞれ自分の範疇をわきまえていて、他の先生の出番が来たらサッとバトンタッチしてしまう。その方が患者にとってもベターな選択だということらしい。

恐怖体験の「その2」へつづく・・・。







 
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