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英語で日常生活記録

 豪腕歯科医院(その2) 

「m
iyamuの歯茎の炎症の原因は歯根にあるから、それを取り除かないことには何回でも繰り返すだろうね。」「はぁ・・・」依然として腫れの引かない私の歯茎を見て、先生は口腔外科の手術(って書くと大袈裟・・・)を受けるようにと言った。事態は思わぬ方向へ、しかも手術とは、私の歯は一体どうなってしまったのだ!?

「まずはその前に、僕がその歯の神経治療してしまうから、そのあと24時間以内に口腔外科の治療を受けてね。」と、治療の段取りは先生同士の連絡によって自動的に決められた。手順はこうだ。まず始めにこの歯科で腫れた歯茎の下にある歯の神経治療をして、その傷が塞がったり、更に炎症を起こす前に、口腔外科医を訪ねて、細菌によって腐食した歯根を切除するという。

あ、他人事のように聞こえるが、もしかするとかなり恐ろしいことではないか。それも24時間中に、一粒で二度痛い目に会うって事か・・・。こういった専門的な内容は、当然ながら通訳を介して日本語で説明を受けたのだが、たとえ日本語で聞いても、事態が複雑でよく分からなかった。

「miyamuさんの場合、コンプリケイトなケースですので・・・」
「はい。(内心、なんだコンプリケイトって?)」
コンプリケイテッド=complicatedは「複雑な」という意味の形容詞だが、ここで英語を交えず「miyamuさんの歯は複雑なことになっている」と言ってくれと、少し思った。(そもそもコンプリケイト=complicateは動詞だ。わざわざ家で調べてしまったではないか。これできっとこの単語は忘れないだろう。)

身ともに痛い目にあって、財政面でもダメージを食って、もはやそんな些細な事にまで皮肉っていた。しかし、それらは全て次に来る恐怖心から来る気持ちの裏返しだった。



して、恐怖の24時間が始まった。手術の前日に、私はいつもと同じ歯科へ行って神経を完全に取り除く治療をした。その歯は日本ですでに神経治療をしたはずだったのだが、レントゲンで見るとどうやらそれは完全ではなく、まだ神経の先が残されているというのだ。

生は日本の歯科治療は粗雑で、遅れていると言いたげだった。「日本で彼がした治療はどうして中途半端で終わってしまっているのだ?」と、ぶつぶつ呟いていたからだ。

は治療中に痛い目にあっても、けっこう我慢してしまう。でも、この神経治療でもっとも痛かったことは、麻酔の針だった。神経治療は奥が深いので、麻酔はこれでもかというくらいに何度も刺す。しかも先生は押す力が強いのでかなり痛かった。治療中は歯科助手のバキュームの先が口の粘膜にゴリゴリと当たって、これも相当痛かった。テキパキしているけれど、なんてアメリカ的なんだろう!

経治療の後は、とんでもない高額の治療費がかかった。保険ナシで約10万円ほどだった。チェックを切りながら、本当は泣きたかった。週に2回も3回もこんな高額なチェックを書き、我が家の家計はどうなってしまうのかと怖くなった。悲しい気持ちでいっぱいだった。夫は私の歯の為に働いているのではない。再び心身ともにボロボロになって家路に付いた。でも、明日の朝は次の治療が待っている・・・。



腔外科へ行く朝、歯茎の腫れは引き始めていた。今更〜?と思いつつも、もう予定は組まれていた。「一時的には大丈夫でも、再発を予防する為にやってしまった方がいい」という先生の言葉を思い出した。アメリカはきっと日本よりも予防医学が進んでいるのだろう。私の奥歯の後ろにしっかり頭を出している4本の親知らずを見た時も、先生は取り除くべきだと言ってきた。痛くならなくても、要らない物は抜くべきだということだった。

は口腔外科まで運転しながら、気分はとても憂鬱だった。今日の治療で行われる事、どれほどの痛みなのか、どんな風にされるのか、いったい幾らかかるのか・・・1つも明るい材料が無かった。それに、完全に英語しか通じない環境での治療だし、私の不安と緊張は募るばかりだった。



間どおりに口腔外科に到着した。受付で予約時間と名前を告げ、ソファに座って待っていた。先生が現れて、私は診察室に誘導された。私は治療台に乗り、先生は私の口を注意深く見た。先生は昨日の神経治療の跡と歯茎の様子を見て、「どうやら良さそうだね」と言った。

「さて」と、先生はおもむろにゴム手袋をはめて、引き出しから注射を出し、私の歯茎に麻酔を打った。私は言われるままに口を開けて、かたく目を閉じて大人しくしていた。(・・・こ、これは痛い・・・。)もう逃げ出せない。注射のあと、治療台で脱力した。先生は「じゃ、麻酔が効くまでしばらくこのままで」と言って、部屋から出て行ってしまった。

は治療台で、もう十分に麻酔が効いているのをじっと感じていた。10分経っても先生は現れない。向こうの部屋から助手の人と楽しそうに話す声が聞こえてきた。丁度昼時だったので、ハンバーガーの匂いが病院の中に漂っていた。こうして麻酔をして放置されている間、私は治療台の上で、怖いときでもお腹が空くのね〜と思った。20分後、先生はようやくやって来た。

恐怖体験「その3」へつづく・・・。








 
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